当院の取り組み
当院では、2005年5月よりNST活動を実施しています。板野医師を中心に、歯科医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・言語聴覚士・臨床検査技師で構成され、栄養管理が必要な患者さんに適切な栄養支援を行っています。栄養状態が悪いと病気が悪化したり、手術後の回復が遅れたり、QOL(生活の質)が低下するだけでなく、術後の合併症や感染症、褥瘡などの発生にもつながります。
活動としては毎週2回に回診を行いラウンドしています。体重や身体計測値の推移、摂食状態(嚥下機能)、その他の全身状態(感染症・褥創)を見ながら必要なエネルギー量を計算し、摂食内容や方法なども考慮しながら主治医に提案しています。
RSTは2001年に発足し、杉村医師/宇佐神医師を中心に臨床工学技士、理学療法士、言語聴覚士、看護師で構成されており、2回/週のRSTラウンドを実施しています。呼吸器ケアに関わる多職種の医療従事者が情報共有し、多角的な視点から呼吸管理・ケア方法の指導、人工呼吸器管理・離脱に向けた援助を行っています。2回/年の学習会を開催するほか、メンバーによる出張学習会(人工呼吸器関連、肺理学療法関連、呼吸器ケア看護関連)も実施しています。組織横断的な関わりを通し、より多くの医療従事者に呼吸器ケアの楽しさを伝え、呼吸器ケアの質向上を目指し、患者さんへ安全安楽な呼吸器ケアを提供することを目標にしています。
「褥瘡対策チーム」は、入院患者様の褥瘡を予防し、新たに発生させないことを目的に活動しています。メンバーは皮膚科医と各病棟の担当者(看護師)、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、皮膚・排泄ケア認定看護師士で構成されています。月に2回褥瘡回診を行い、患者様のベッドサイドで体圧測定やポジショニング、ケアの検討をメンバーでディスカッションしています。また、月に1回委員会を行い回診の振り返りや最新の情報提供、学習会を行い研鑽しています。今後もチームの力量を高め、褥瘡予防に努めています。
ICLSとは医療従事者のための蘇生トレーニングです。ICSL委員会ではNPO救命おかやまと連携して、年2回のICLSコースを開催し、さらに新人職員や各職場への講習会を年10回程度開催しています。
近年は患者安全の観点から、急変事例を起こさないための早期対応について若手職員対象とした院内研修に取り組んでいます。また事務職も含めた全職員に研修をしています。
地域活動としては、要請に応じたAED(自動体外式除細動器)の安全な使用と救命につながる講習会を、地域の班会や保育施設へ出張講習しています。2015年から始まったおかやまマラソンでの救護活動にも、AED班として毎年数名参加しています。
緩和ケアチームは、2011年に緩和ケア病棟設立後よりチーム編成を行い、チーム活動をしています。チームメンバーは緩和ケア医師を中心に、心療科医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床心理士で構成されています。
回診日は火曜・金曜で、患者さんの体のつらさ(疼痛、呼吸困難など)や気持ちのつらさ(不安、不眠など)で困っている時にご本人の了承の上、直接病室に伺い、チーム回診をしています。また、家族ケアも含めたサポート、そして緩和ケア病棟入棟に関するご相談なども行っています。これからも患者さんの生活の質の維持、向上に寄与できるようにチーム力を高めていきたいです。
当院では、2016年より「ノーリフトケア」活動を実施しています。事務、看護師、理学療法士、作業療法士を中心に構成されたチームで、院内での「持ち上げない、抱えない介助」を広めるために活動しています。チームでは、スライディングシートや移乗用リフトを活用した介助する側・される側の負担を軽減するための学習会を開催したり、現場での介助の仕方やシートの正しい使用方法を指導し普及活動をしています。現場での腰痛を少しでも減らせるように活動を実践していきたいと考えています。
ICTは、医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師で構成され、定期的に院内ラウンドを実施しています。感染症患者さんの確認、抗生剤が長期に使用されている患者さんの把握と適正化の評価を行っています。また、感染対策に関するコンサルテーションを日常的に行い、より身近にアドバイスできる環境を提供しています。ICTはチーム内だけではなく院内全体が患者さんにとってより良い医療が実践できる環境づくりを使命としています。
DCTは2019年4月に開設され、認知症サポート医や認知症看護認定看護師、社会福祉士などの多職種で構成されています。認知症の人は周りの状況を捉え、要望を相手に伝えることが困難です。身体疾患のために入院した認知症の人に適切な医療を行うために、病棟でのケアや多職種チームの介入が適切に行えるように援助すること、認知症の人が現在の療養環境を認識し、穏やかに過ごすことを目的としています。週に2回の回診とカンファレンスを行い、実際に患者さんに接する病棟看護師から気づきを発信し、適切なケアを検討しています。また、病院スタッフを対象に年2回学習会や、要望に応じて院内外での学習会の開催、院内の認知症ケアマニュアルの作成を行っています。
「排尿自立支援チーム」は、尿道留置カテーテルを一日でも早く抜去し、尿路感染を防止するとともに排尿自立の方向に導くことを目的に活動しています。メンバーは泌尿器科医と作業療法士、皮膚・排泄ケア認定看護師で構成されています。尿道留置カテーテルを抜去後の排尿障害の改善や排泄行為が自立できるよう、患者さんと病棟看護師と共に計画を立てケアを行っています。また、早期に尿道留置カテーテルが抜去できるようにスクリーニングを行っています。患者さんが入院前の元の生活に戻れるよう努めていきます。
RRTは主に患者さんの状態変化に対して早期に検査、治療介入することにより、患者さんに起こりうるであろう有害事象を防いでいくことを目的に活動しています。メンバーは主に呼吸サポートチーム、チームICLS、HCU(ハイケアユニット)のスタッフで構成しています。患者さんの身近で関わっているスタッフがケア対応等で困ったときは、要請に応じて医師と二人一組で迅速に診療サポートにあたります。時には主治医に代わり主導権をもって診療をすすめることもあり、日頃の治療方針や患者さんの意向の共有が重要になります。今後は蓄積したデータを基に、診療体制をより安全なものへと提案できるよう現場教育活動にも力を入れていきます。
骨粗鬆症チームは2022年に発足し、大腿骨近位部骨折・脊椎圧迫骨折(脆弱性骨折)のある患者さんに対し二次性骨折を予防することを目的に活動しています。医師を中心に看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師で構成されています。入院中の患者さんを対象に、骨密度検査の結果を元に評価を行い骨粗鬆症マネージャーから本人・家族へ指導等を実施しています。
また最初の脆弱性骨折の予防を目的に健康まちづくりセンターと連携し地域へ出向き、骨粗鬆症健診を含めた啓発活動も行っています。